今年の株主総会は・・・

松山大学法学部准教授 内海 淳一

 日本では、会計年度の決算日を毎年3月31日としている会社が一般的であることから、慣例的に6月に株主総会が開催されています。そして、この時期の株主総会開催日が同じ日となる、いわゆる総会集中日なるものが業界の暗黙のルールとしてあり、過去最高は東京証券取引所に上場している会社の96.2%(1995年)にも達していましたが、今年(2017年)は29.6%(6月29日)で、1983年の調査開始以来、初めて30%未満となりました。

 ところで、株主総会とは、一体何なのか? 株主は、会社に対して財産を提供(出資)しているので、実質的なオーナーとして会社の意思を決定することができます。したがって、複数の株主が存在していれば、会社の意思を決定するため、話し合いの場が必要となります。それが、株主総会なのです。ただ、大規模な上場会社となると、何十万人も株主が存在しており、全員出席して株主総会を開催することは現実的には不可能ですが。そして、株主総会の意思決定に基づいて選任された取締役が会社経営を行うのですが、昨今の国会議員等のように選ばれた瞬間からおごり高ぶった態度で謙虚さがないと感じるのは私だけでしょうか・・・

 今年度注目を集めている会社としては、自動車の欠陥エアーバッグ問題の「タカタ」と不正会計処理や原発子会社(米国)の経営破綻問題の「東芝」があります。タカタは、定時株主総会開催の前日(6月26日)、東京地方裁判所に対し民事再生法適用の申請を行い、経営破綻しました(7月27日/上場廃止)。負債総額は約1兆7000億円で、メーカーとして戦後最大の倒産となりました。また、東芝は、6月28日の定時総会が3時間9分と長時間の開催となったようです。今後、東芝は、債務超過(会社の資産額よりも負債額の方が大きい)状態が続けば、上場廃止となる可能性もあります(8月1日/東証2部へ降格)。

 タカタと東芝、両社とも定時総会では経営陣に対し株主から経営責任を厳しく問われており、株主の信頼を裏切っただけではなく、従業員その他の会社関係者にも多大なる迷惑・損害を与えことについて、誠心誠意をもって対処すべきでしょう。政治・経済のみならず、あらゆる分野で「数の暴力」による傲慢な振舞い、結果に対する無責任体質が蔓延している日本社会の現状を憂えずにはいられません。