Q.となりの家の柿がうちの庭に落ちてきた。

01kaki
Question

 となりの家の柿がうちの庭に落ちてきた。
拾って食べちゃったけど
・・・いけなかったかな?

Answer

 自分の家の庭に落ちてきたからといって その柿を食べてはいけません。

Comment

 あなたがスーパーで買ってきた柿を、あなたが食べることができるのは、その柿があなたの「もの」だからですね。法律的にいうと、「スーパーとの『契約』により、柿の『所有権』を取得した」からだということになります。

 では、となりの家にある柿の木から、自分の家の庭に落ちてきた柿は、いったい誰の「もの」に(=所有権は誰が取得することに)なるのでしょうか?この点について、ドイツの民法には、樹木から隣地へ落下した果実は、その土地の果実とみなすという規定があります。日本の民法には、そのような規定はありませんが、第89条1項が、問題解決の指針にはなりそうです。

 民法89条1項は「天然果実は、その元物(げんぶつ)から分離する時に、これを収取(しゅうしゅ)する権利を有する者に帰属する」と定めています。この問題の例で言うと、天然果実=柿、元物=柿の木ということになります。

 では、となりの家にある柿の木から自分の家の庭に落ちてきた柿を「収取する権利」を有しているのは誰でしょうか?

 その柿を最初に見つけた人?いいえ、違います。民法206条は「所有者は…自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する」と定めています。そして、ここでいう「収益」とは、物から生じる果実を取得することを意味するとされています。

 すなわち、柿の木の所有者が、柿の実を収取する権利を有するのです。したがって「となりの家の柿の木から落ちてきた柿の所有者」=「柿の木の所有者」ということになるので、自分の家の庭に落ちてきたからといってその柿を食べてはいけないのです。

 もちろん、柿が落ちてきたことをお隣さんに教えてあげて、お隣さんが「差し上げますので、どうぞ食べて下さい」といってくれた場合は別ですよ。このときは、あなたがお隣さんとの「契約」によって柿の「所有権」を取得することになるからです。

 ここまでの説明で、「食べてはいけない」が答えになるのはおわかりいただけたと思いますが、もしうっかり食べてしまったらどうなるのでしょうか?これは、上の説明で登場した民法の問題ではなく、刑法の問題となります。

 具体的には、「窃盗」や「占有離脱物横領(他人の忘れ物をネコババしたときなどがそれにあたります)」の罪が、この場合に成立するのかという問題です。これについても、いろいろと難しい問題があるのですが、文章で説明すると長くなりますので、オープンキャンパスのときに、法学部のブースまで質問に来てくだされば、きちんと説明いたします。もちろん、法学部に入学された方には「刑法」の講義のなかで、じっくりと説明いたしますので、お楽しみに。