高校や大学を卒業すると、ほとんどの人は、会社など(使用者)に雇われて、労働者として、働くことになります。法律的には、労働契約を結んで働き始めることになります。雇う側は、なるべく安い賃金で、長い時間働かせようとします。そこで、労働法は、ひどい労働条件を押し付けられないように、たとえば1日原則8時間労働(労働基準法32条)までというように、労働条件の最低基準や、労働契約で取り決めてはいけないことなどを定めています。
残念ながら日本の現状では、労働者にとって一番身近な労働法ということのできる労働基準法すら守らない会社が珍しくありません。労働基準法を守らない会社は、最近、ブラック企業と呼ばれたりしています。主に労働基準法を守らせることを使命として、ブラック企業と闘い、日夜活躍している国家公務員が、労働基準監督署の労働基準監督官です。労働基準法を守らせる警察官のような仕事をしています。また、労働法に関する専門性の高い国家資格者として、会社の労務管理に深く関わり、ブラック企業とならないように指導することをその職務としているのが、社会保険労務士という職業です。
全国各地で、労働基準監督官や社会保険労務士として活躍している松山大学卒業生に出会うことがありますが、みんな生き生きと働いています。学んだことを仕事として、社会で実践できることは、本人にとっても、たいへんありがたいことだと思います。
そういった人たちと、労働法が活躍する現場の話をすることも、労働法の教員の大きな楽しみということができます。