高校生の皆様、世界史や政治・経済の授業で日本の国境の外の世界について学ぶ機会があるのではないでしょうか。なぜ私たちは自国のみならず自国の外にも目を向けなければならないのでしょうか。
「自国の外」というと「外国」を思い浮かべるかもしれません。たしかに国際政治においては国家が主要なアクター(行為主体)です。しかし、国家以外にも「様々なアクター」があります。その代表的な例が複数の国家が何らかの共通の目的を実現するためにつくった国際組織です。
国際組織の具体例として、第二次世界大戦で崩壊した国際秩序を構築し、平和を維持することを目的に創設された国際連合(国連)を挙げることができます。国連の誕生から70年以上経ちましたが、当初の目標を実現させたとはいえず、その役割は限定的です。
それでも国連は国際政治の舞台で必要不可欠な存在です。国連の最重要機関が安全保障理事会(安保理)です。たとえば北朝鮮が核実験を実施し、またはミサイルを日本海に向けて発射した場合、安保理の決議違反となります。にもかかわらず、北朝鮮がこうした行為を強行した場合、安保理では報道声明を出すなど、非難の意思を表明することができます。それで、北朝鮮の外交・安全保障政策が急に変わることはないでしょう。しかし、安保理の声明には「国際社会の声」を代弁する機能があります。「国際社会」が一致して北朝鮮の行為に反対しているというメッセージを発することができるのです。日本や韓国が単独で非難するよりも、安保理という機関をとおすことでより効果を増幅させることができるのです。ようするに、国際政治とは国家と国家との関係だけではなく、このような国連、あるいはそのなかの安保理をとおして活動が行われる場でもあるのです。
国連、「国際社会」の概念、あるいは東アジアの安全保障環境など、日本という国家の枠を越えたテーマに目を向けることは「世界のなかの日本」という視点で思考することを可能にします。つまり、自国を相対化させることで、より客観的に国際情勢を鳥瞰し、戦略的思考を醸成することにつながるのです。松山大学法学部では、こうしたテーマを「国際組織論」や「安全保障論」などの講義をとおして学ぶことができます。以上のような話に関心を抱いた高校生の皆様は是非本学を学び舎として選んでください。お待ちしております!