2005(平成17)年7月26日、それまで商法典の第2編に置かれていた会社法が分離されて単独の会社法典となった。旧商法典の条文は第1条から第851条まであり、そのうち第2編(会社法)は第52条から第500条で、全体の過半数(449か条)に達していた。ただ、実際の会社法の条文数は、形式上よりも相当多くなっていた。なぜならば、条文番号と条文数が一致していなかったからである。たとえば、第280条と第281条の間には、38か条の条文が存在していた。つまり、280条の次に280条ノ2という条文があり、これが280条ノ39まで続き、そのあとに281条となっていたのである。
このように、旧商法典の中の大部分を占めていた会社法は、現行の会社法典として生まれ変わった訳であるが、その条文数は何と979か条に達している。その理由は、旧商法典の第2編部分の分離・独立に際して、従来商法以外に存在していた会社関連の法律(商法特例法・有限会社法など)を吸収・統合させたためである。さらに、現在の会社法典は、具体的な内容を規則(会社法施行規則・会社計算規則・電子公告規則)に委ねる委任規定が多数存在していることから、これらを含めると実質的な会社法の条文数は約1500か条にも及んでいる。
大学では、この会社法を対象とした講義(30回)が行われているが、こうした膨大な会社法の条文を見ると、学生がヤル気の出ないのも仕方がないのかもしれない。一般に、会社について漠然としたイメージはあっても、それに関する法律がどうなっているのかについては、あまり身近に感じられないのが現実であろう。会社法の講義を面白くすることは、授業担当者にとって大きな課題である。