まちづくりの達人をさがせ!
甲斐ゼミ(行政学、政治過程論)
豊かな地域社会の維持・発展のためには、行政だけでなく、営利部門(=企業)や非営利部門(=NPOやボランティアなど)も、それぞれの立場の違いを活かし、「協働」してまちづくりをすすめていくことが大切です。「協働型まちづくり」「ガバメントからガバナンスへ」―こうしたスローガンを耳にすることも増えてきましたが、現実はそう簡単なものでもありません。
そうした問題意識から、行政学ゼミでは、地域の「社会資源」(=まちづくりのキーパーソンや拠点となるスポットなど)の発掘作業を通じて、「協働型まちづくり」をめぐる現状と課題を探る試みを続けています。少人数の班に分かれて、福祉や教育、商店街活性化等々、様々な分野で「まちづくり」に取り組む地域内外の方々を取材し、みんなの前で発表してもらいます。ゲストをお招きしたり、逆に学外に出かけたりして、行政や企業、NPOなどの方のお話を全員で聴く機会も、年に数回あります。
そうした活動から生まれるネットワークも活かしつつ、主に後期からは、まちづくりイベント「灯幻郷~まつやま灯明ウォッチング」の企画・運営にも関わってもらっています。このイベントは、紙袋と砂とロウソクでできた数千個の手作り灯明をグラウンドに並べ、大きな地上絵を描くというもので、地域内外でまちづくりの活動をされている方々のPRも兼ねた出店や、ライブパフォーマンスなどもあります。準備過程を通じて異分野・異世代の人々の「出会いの場」をつくりだす目的もあることから、ボランティアによる企画・運営体制をとり、なるべく多くの方々に関わっていただくようにしています。近年では、この灯明イベントを通じ、福岡市博多部などとの地域間交流も定着しつつあります。
自ら考え、手足を動かし、様々な人と話をする経験は、ゼミ生たちを大きく成長させてくれるもののようです。商店街のメルマガづくりのお手伝いをしたり、自らNPOの活動に参画したり、彼らが何をやってくれるのか、毎年、(時にハラハラしつつも)楽しみに見守っています。
もちろん、法学部には、もっと法学部らしい、法律の解釈論や判例についてしっかり学べるゼミも沢山あります。学生の皆さんには、どんな知識や技能を身につけて卒業したいかをしっかり考えて、ゼミを選んでほしいと思います。そして、どんなゼミを選んだにせよ、「待ち」の姿勢ではなく、主体的に参加することが大事です。ゼミが面白いものになるか、退屈なものになるかは、自分次第なのです。