やりたいことが見つからない?

松山大学法学部講師 安藤 津

 高校生の時に、「やりたいことはこれだ!!」と自信を持って、自分の進路がはっきり見えている人、見えていた人って、どれくらいいるのでしょうね?逆に、高校生の時までに、「何かをやってみたい」と一度も思ったことのない人、思ったことのなかった人って、どれくらいいるのでしょうね?どちらも大変少なそうな気がするのは、私だけなのでしょうか?それなのになぜか、「やりたいことが見つからない」という人が大変多そうな気がするのも、私だけなのでしょうか?

 もしどちらも私だけでないとしたら、何かを「やってみたい」と思ったことはあるけれど、「今はやりたいことが見つからない」という人が多い、ということになりそうです。その理由を、ちょっと一緒に考えてみましょう。

 もしあなたが、そういう大勢の1人なら、「やりたいことをやらせてもらえなかった」こと、「(今は)ダメ」と言われて諦めたことはありませんか?あるいは、「面白そうだな」と思ったけれど、勇気がなかったり、恥ずかしがったり、面倒くさがったりして、結局やってみなかったことはありませんか?そういう「やりたかったこと、やってみたかったこと」、全部覚えていますか?いつの間にか、忘れていませんか?結構たくさんあったような・・・そんな気がしてきませんか?

 あとは・・・そうですね、「やりたいことをやっていた」けれど、いろんな事情で「出来なくなった人」もいるでしょう。ものすごく、大変つらい思いをされた人もいるでしょう。「では次はこれにしよう」と、そう簡単に「やりたいこと」は見つからない、という人もいるでしょう。

 おそらくこれらの皆さんに共通して言えるのは、「まだやっていないことがたくさんある」ということです。やらせてもらえなかったこと、敢えてわざわざやってみなかったこと、「自分がやりたいことは、これだ!」と思って頑張ってきたこと以外のことも、全部「まだちゃんとやってみていないこと」です。いままで「やってきたこと」の中に「やりたいこと」が無いのなら、「まだやってみていないこと」を探し場所にするのは、ごく自然なことです。

 だったら話は簡単です。ちょっとでも「面白そうだ」と思ったら、全部やってみましょう。10個あったら10個、20個あったら20個、全部やってみましょう。「え~、無理!!」という声が聞こえてきそうな気がするのは、私だけなのでしょうか?

 そう、大抵は無理なんです。1日は24時間、与えられた時間は平等ですから、そんなにたくさんのことを、毎日同時進行で継続できるわけが無いんです。そうすると、自然と「やらなくなること」と「やり続けていること」に分かれてきます。「やり続けていること」はきっと、あなたがそれなりに「面白い」と思えることです。面白くなかったら、「やらなくなること」になるからです。20個全滅でも大丈夫。この世には、大学4年間でも試しきれないほど、たくさんの「まだやってみていないこと」がありますよ。

 あ、もちろん法律の範囲内でお願いしますね。

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