松山大学法学部教授 内海 淳一
日本には、会社は何社あるのか? すなわち、会社の人口はどのくらいか・・・ 法律の世界において、会社は、我々人間(法律上、自然人という)と同様、法律によってつくられた人(法人)として認識されています。したがって、法律的に、人(ヒト)とは自然人と法人の両方をいいます。
最新の国勢調査(2020年)によれば、日本の人口は約1億2600万人ですが、毎日新たな生命が誕生し、かつ病気や交通事故などで亡くなる人もいるので、常に正確な人口を把握することは不可能です。同じく、会社の人口についても、日々新たに会社が設立されたり、負債を抱えて倒産したりしているので、正確に把握することは困難です。なので、人間および会社の人口に関しては、推計で把握せざるを得ません。
では、会社の人口を積極的に把握しようとするところは、どこか? それは、おそらく税務当局(国税庁)でしょう。会社が儲かっていれば、その所得に対し税金(法人税)をかけて徴収する目的があるからです。ということで、国税庁は、「会社標本調査-調査結果報告-税務統計から見た法人企業の実態」を毎年公表しています。
その令和4年版(2024/令和6年6月20日)によれば、
株式会社: | 2,691,378 |
合名会社: | 3,068 |
合資会社: | 12,290 |
合同会社: | 184,719 |
合計 : | 2,891,455 |
以上の推計からいえることは、会社全体の人口は約290万人で、そのほとんど(93%)が株式会社で占められています。また、自然人の人口は、年々減少傾向にありますが、会社の場合は、昨年(2023/令和5年)と比較して102,839人増加しており、5年前(2019/令和元年)から220,680人、10年前(2014/平成26年)からは422,496人も増えている状況です。
ちなみに、かつて存在していた有限会社は、現在では特例有限会社として事業活動することが認められていますが、商業登記上は株式会社とされています。自然人に例えれば、本名(戸籍上)と通称(芸名やニックネームなど)の関係のようなもので、つまり本名(登記簿上)は株式会社であるけれども、実際には有限会社(営業名)という通称を使って企業活動しているということです。さらに、飽くまで統計的な数字として、日本の人口の43人に1人の割合で会社社長がいることになります。