ルール(法)を知り、決め、変える経験をする

明照 博章
MYOSHO Hiroaki

 日常生活を送っている場面では「ルール」を「自分で」決める機会はそれほど多くないと思います。「ルール」は予め決まっていることの方が多いからです。しかし、自分が「ルールだ」と思うことが他人とは異なることもあります。この場合、「ルール」決定を必要としますが、今の日本では、「拳で解決する」という選択を採用することはあまり多くないと思います。そこで、意見交換をする必要があります。その際、次のような問題を検討することになります。

①そもそも、生活する上で、どのようなルールがあるのか?
②ルール(言葉になっているルール)が一つしかないとしても、その適用方法は、常に一つか?
③自分が考えているルールと違うルールが、自分に適用される時、それに従う必要があるのか?
④私達は、どのような場合に、ルールを決める/変えることができるのか?
⑤ルールの変更に際して、意見が反映できなかったルールに従う必要があるのか?
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 法学部では、上記の問題を検討するために必要な授業を用意しています。
 特に、大学では、高校までとは異なり、演習という科目があります。
 演習では、これから法学・政治学を学ぶ同士が集まり、(専門科目の授業で学んだ)専門用語を使いながら、意見交換をし、結論を出すための手順を体験し、体得してもらうことになります。

 法学部生は、このような過程を経て、法学部を卒業し、次のステージに立つことになりますが、先輩の進路としては、例えば、各種民間企業があり、おおむね良好です。これは、松山大学が松山高等商業学校を起源とし(1923年設立)、地域社会では「就職に強い大学」と認識されていることにも関係があると思います。また、公務員(国家公務員・地方公務員)となる者も多数おります。さらに、法科大学院へ進学後、法曹となる者の他、司法書士、不動産関係士及び社会保険労務士等の「士業」に就き、活躍する者も少なくなくありません(松山大学法学部は「四国の私立大学で唯一の法学部」です:1988年設置)。

 学生時代には、法学部が提供する環境(ルール(法)を知り、決め、変える経験をする環境)はもちろん、自分で選択した環境の中で、ルールの違う人と出会い、共生できる能力を身に着けることを期待しています。

松山大学法学部長
明照 博章